はじめに、去る、3月11日に発生しました東日本大震災、また翌日の県北部を中心とする地震について触れさせていただきます。これらの地震により、想像を絶する被害がもたらされ、多くの尊い生命が失われました。改めまして、亡くなられた方々とそのご遺族に対しまして、衷心より哀悼の意を表します。今なお、多くの被災者の方々が困難な避難生活を強いられております。県教組本部、各支部におきましては、無理することなく、継続可能な支援のあり方を考え、実行していこうではありませんか。 
この二日間、教育や我々教職員を取り巻くさまざまな課題について意見が出されました。各支部から「超過勤務の縮減」「30人規模学級の検証」「組織の維持と拡大」などについて、熱い思いを持って語られました。私たちが、それらの課題にどう立ち向かっていくのかを考えたとき、我々の大きな課題である「組織の維持・拡大」が必要となります。そのために、どうすべきか、いっしょに考えていただきたいと思います。
去る5月10日、松塩筑支部では新規採用者や講師の方々をお招きし、「フレッシャーズ歓迎会」を開催いたしました。その会には、組合未加入の方も参加されていました。そのうちの一人の先生に、「ところで、先生はどうして組合に入らないんですか?」と聞きました。すると、その先生は「正直言って、組合が何をしているかよくわかりません。組合って、必要なんですか?」とおっしゃいました。それからしばらくの間、その先生の言葉が耳に残っていました。どのようにお話するのがよかったのか、ずっと考えていました。そして、改めて自分の気持ちを伝えようと、その先生を含めて、未加入の新規採用の先生方全員に手紙を送りました。これからお読みするのは、その手紙の一部です。代議員の皆さんなら、この先生にどのような手紙を書くか、考えてみてください。
『やはり、組合は必要です。組合がないと、私たちの願いや現場の声を県当局に伝えることが難しくなります。先日、県教委の課長の経験がある校長先生から次のような言葉をいただきました。「県教委の立場から交渉に参加した経験から言うと、組合の思いは無視できない。それほど重いものとして県教委はとらえている。自信と誇りを持って、がんばりなさい。」と言ってくださいました。現場の声を県教委も大切に考えてくれています。組合は現場の声を伝える大きな役割を果たしているのです。また、組合は、教職員の生活・権利を守ることばかりでなく、子どもたちの教育環境を整えることに活動の多くを割いています。松塩筑では、教育委員会・校長会・PTA連合会・長頭組などと「教育関係七団体連絡協議会」を組織し、完全に一致する願いについて、一緒に県議会、県教委、高校に陳情活動などを行っています。陳情内容はいずれも子どもの幸せを願ってのものばかりです。松塩筑支部を始め、多くの支部ではこのような活動に力を入れており、地域や保護者の方の信頼を得ています。自分たちの権利の主張ばかりしていては、このような信頼を得ることは決してできません。
最後に、組合についての私の経験を書かせていただきます。私の初任地は下伊那の中学校でした。教員としての初日、「組合は入ったほうがいいんですか?」と先輩の先生に聞くと、「そんなことは当たり前だ」と言われました。それからずっと、組合に加入していますが、そうであることにメリットを感じることはそれほどありませんでした。損得勘定でいえば、組合員でなければ、組合費の負担はありませんので、金銭的には得かもしれません。ですが、私が加入し続けているのには、2つの理由があります。
ひとつは、やはり先輩の先生から教わったことです。「自分たちが今使っている権利は、先輩の先生方が長い間苦労して得てくれたものだ。それを次の世代に受け継いでいくのが、自分たちの役目だ」と教わりました。自分が後輩の先生から「年休って、いつ取ってもいいんですか?」と聞かれた時、「自分の都合でいつ取ってもいいんだよ」と答え、そうしてくれたのは、先輩方の組合活動のおかげだと語れるようでありたい。そう思っています。
もう一つの理由は、自分の教師としての生き方です。私は教師として、日々接している子どもたちに対して、誠実でありたいと思っています。その子どもたちに「協力し合おう」「自分のことだけでなく、他の人のことも考えよう」などと語ってきました。教師として、また、一人の人間として、この言葉に嘘をつきたくありません。ですから、いろいろと考え方はあっても、力を合わせて、自分たちの暮らしを、子どもたちの教育環境を良くするために、力を合わせて運動を続ける組合の一員であり続けています。自分は関わりを持たずに、権利だけもらう。それは自分の生き方に反します。私は、そのような生き方をしたくありません。
読んでいただき、ありがとうございました。先生からのご連絡をお待ちしております。』
私は、この手紙を書きながら、組合というものがどうあるべきかが、自分なりに見えてきた気がしました。その一つが組合、または組合活動というのは、組合員にとってわかりやすいものでなければならない、ということです。私がそれに気づかされたのは、支部執行委員からの「ところで、評議員会って何をやるんですか?」という質問でした。その時に改めて考えさせられました。「自分たちのやってきた組合活動は、組合員にわかりやすいものになっているのだろうか」と。自分たちが当たり前として使ってきた言葉、やってきたことが、組合活動をわかりづらく、近寄りがたいものにしてしまっているのではないか、と考えました。その後の評議員会ではその役割を委員長挨拶の中で説明をしました。支部情報紙スクラムでは、情宣部のアイディアで、紙面で使われる言葉の解説をいれるようになりました。「組合員は執行部のことを信じてついてきてくれればいい」では組合員にとっては、わかりづらい、近づきがたい組合になるばかりです。組合員、そして時には、未加入の方の考えも真摯に聞きながら、組合活動はわかりやすいものになっているかを常に検証しながら、その歩みを進めていく必要があると考えます。なぜなら、組合は組合員のものであるのですから。
最近、私は一日の終わりに、「今日は何人の同僚と言葉を交わしただろうか」と振り返ることがあります。私と同年代の方々は、自分が初任の頃の職員室の様子が今とは違っていたことをおわかりだと思います。休み時間になると職員室に同僚が集まり、お茶を飲みながら子どもたちの話をしたり、たわいもない世間話をしたりしていました。放課後には、体育館に集まりバレーボールに興じました。また、時には、先輩の先生に連れられ、飲みに出かけることもありました。いつからなのでしょう。気づけば、同じ職員室にいる同僚とさえ言葉を交わすことなく一日が終わることがありませんか。休み時間も生徒指導や片付けなければならない仕事に追われ、休日も部活動が待っている。自分の時間など持つことができない。未来を担う子どもたちを育てる私たちの生活が、いつからこんなにゆとりがなくなり、同僚とのつながりが弱くなっていったのでしょうか。
今、組合は、この人と人とのつながり、同僚との関わりを強くするための役割を果たすべきなのかも知れません。一つのつながりをまた別のつながりにつなげていく。その連続性が、組織拡大につながっていくのではないでしょうか。まずは、近くの同僚と話してみる。職員室でいっしょにお茶を飲む時間を作ってみる。時にはレクリエーションを呼びかけてみる。その一つ一つのつながりが、大きな力になっていく。私はそう信じたいと思います。
最後になりましたが、代議員のみなさん、日頃からご奮闘いただいている県本部のみなさん、活動を支えて下さっている書記のみなさんに感謝を申し上げます。ここに長野県教組は日教組に結集し、明るく民主的な職場を基盤に、統一と団結を強め、さらに組織を拡大・強化し、保護者やより多くの県民と手を携え、未来の日本を支える子どもたちと長野県教育のために総力を挙げて邁進することを確認し、討論を終わりにします。これからも、15支部団結してがんばりましょう。ご静聴ありがとうございました。



総括討論

上小支部 島田 均代 代議員
総括討論

松塩筑支部 阪口 和彦 代議員

 上小支部の島田です。長年、県教組を支えて来られた先生方を差し置いて、私のような者が総括討論をさせていただくことになり、大変恐縮に思っています。日頃感じていることや二日間の報告や討論をお聞きしての感想を含めて私の意見を述べたいと思います。初めに、二日間を通して、熱心に議論を重ね、深めていただいた各支部の代議員の皆さん、県執行部の皆さんに敬意を表し、感謝したいと思います。
○連日報道される震災関連ニュースの中で、感動的な話がありました。それは、「負
けないで、東京から」と言う朝日新聞の記事です。家族を亡くした高校生が津波で壊れた家の前で、母親や家族に向かってトランペットを吹く記事。それを見た被災地出身の音楽家が、彼女を被災地支援慈善コンサートに招きました。高校生は、メッセージと共にZARDの「負けないで」を吹き、会場のみんなが感動して泣いたそうです。私の娘もたまたま会場にいて、「とっても感動的だったよ!」と言っていました。「復興を担うのは私たち若い世代。悲しみに負けないで生きたい!」瓦礫の中で希望を見いだす感動的な出来事でした。
  一方、福島第一原発事故は、一向に収束する気配を見せず、放射能汚染は、広がる一方です。ここ長野県でも各地の下水処理施設から、放射性セシウムが検出されています。先月、上田市で「六ヶ所村ラプソディー」など原発映画三部作が上映され、監督の鎌仲ひとみさんの話を聞きました。監督は、「子どもの放射線に対する感受性は、大人の20倍です。放射能被害は時間差で出てきます。3年後に白血病になっても、それが今は見えないのです。」と言っていました。早急に子ども達を守る取り組みを、県教組としても始めるべきではないでしょうか。
○上小支部からの発言でも紹介しましたが、上田で、「引きこもり」を題材にした「アンダンテ−稲の旋律−」という映画の自主上映会がありました。
引きこもりの青年が農業と関わりながら自分を取り戻し蘇っていくという感動的な映画でした。上映後に、原作者のお話をお聞きしました。自分自身の10年間に及ぶ引きこもり体験を元に小説を書かれたそうですが、誠実な人柄がにじみ出たような語り口に引き込まれました。しかし、誠実であるが故に傷つき苦しんだ時期があったのだろうとも思いました。
  不登校の子ども達にも似たようなことが言えます。人によって違いはありますが、多くの子どもは、学校に行こうとしても行けないが故に苦しみます。文科省を始め県教委が言っている、「早期発見、早期対応、未然防止」では、彼らを否定することにつながり救うことにはなりません。人は、否定的な眼差しの中では、立ち上がることは出来ません。「君は、君でいいんだよ。」と認められ、勇気づけられることで立ち直り、進学したり、社会に出て行ったりすることが出来るのです。
○こうした不登校や引きこもり、いじめ、自殺などの背後には、日本社会の問題点があります。
新自由主義的な経済政策によって、非正規雇用が増加し、雇用者に占める割合は、昨年度、35.4パーセント、過去最高を記録。特に、15才〜24才では、半数近くが非正規労働者です。生活保護受給者も60年ぶりに200万人を超えました。年越し派遣村で有名な、湯浅誠さんは、「現代は、うっかり足を滑らせたら、すぐさまどん底の生活まで転げ落ちてしまう、『滑り台社会』だ」と言っています。
他方、大企業は、この間、利益を上げても労働者に還元せず、内部留保として溜め込んでいます。その額は、200兆円以上。儲けたお金は、株主や役員報酬に使われています。 原発事故を起こした、東電の役員は、年間の役員報酬が7200万円。 役員報酬を50パーセントカットしても、3600万円残り、「これでは、国民が納得しないだろう」と経済産業大臣が言っていました。
  似たような事態は、教育現場でも起きています。臨任者が増加し、教員に占める割合は12パーセントに迫り、10年前の2倍以上になっています。今や臨任者なくしては、学校は立ちゆかないのに、その待遇は、月額25万円で頭打ち。また、雇用形態も色々で、不安定雇用となっています。
多くの支部の発言の中にもありましたが、上小支部で先月行われた、青年部主催、新転任者歓迎会には、40名もの青年教師の皆さんが集まって大いに盛り上がりました。その内の3分の1は、臨任者で、彼らは、口を揃えて、「早く、採用試験に受かりたい!」「次にどの職場に行くか、わからず不安だ!」と言っていました。土日まで部活指導があって、教員採用試験の勉強が出来ないと嘆きながらも、子ども達と触れ合い、向き合う毎日に生き甲斐を見いだし頑張っている姿に接して、何とかそれに報いる待遇改善と教員採用枠の拡大を勝ち取らねばと思いました。
○委員長の挨拶にもありましたが、県教組の勤務実態調査では、月80時間と言う過労死ラインを超える超過勤務が4年連続で続いています。また、休職者に占める精神系疾患の割合も60パーセントを超えています。こんなに酷い職場は他にはありません。こんなに頑張って働いているというのに、賃金は下がる一方。一時金は、全国ワースト2位。3.80月という数字は、1963年と同じ。教職員の多忙化解消、超過勤務縮減の取り組みが緊急に求められます。
他方、その手立てとして、多くの学校で職員会が減りました。しかし、議論する時間がなくなり、職員間の十分な共通理解が図りにくくなっています。その結果、学校運営への参加意識が薄れて、上からの指示に従って仕事を進めるようになりつつあるのではないかと、私は感じています。これでは、民主的な職場作りに逆行することになってしまいます。
  先ほど、抗議文送付が決定されましたが、大阪府で、教員に君が代の起立斉唱を義務づける全国初の条例が昨日成立しました。橋下知事は、「複数回違反すれば、懲戒免職する」と言っています。あの東京都の石原知事でさえ、「免職まではやっていない」と言っています。大阪府は、公務員の服務規律の厳格化だと言っていますが、憲法で保障された「思想信条の自由」と「表現の自由」を踏みにじり、力で押さえつけるやり方は、到底許すことはできません。
○このような様々な教育困難や課題に立ち向かい、解決し、改善させるために、今こそ、組合の果たす役割が重要になっています。
  公務員賃金の削減、沖縄普天間基地の移設、教員免許更新制、労働協約締結権など様々な課題に力を合わせて運動を進めていきたいと思います。その中でも、特に、国家公務員給与削減については、今大会でもいくつかの支部から強い抗議の声が上がりました。この影響は、地方にも及ぶことが予想され、県財政が苦しい中、これから行われる地公労交渉では、困難が予想されます。昨日、政府は関連法案を国会に提出しました。成立の行方は不透明ですが、この間、日教組は、闘争を提起せず、県教組独自で反対の取り組みを行いました。我々の賃金が大きく下げられそうになっているときに、何故闘わないのでしょうか!
  教員免許更新制も民主党は、廃止を含む抜本的な見直しを公約に掲げていましたが、それが守られずに現行のままとなり、現場の教員を苦しめています。1月末時点で更新手続きをしていない教員が全国で517人いたそうです。私の知っている先生も、自分の意志で更新講習を受けず免許が失効するために退職されました。
  民主党になって、与党の立場となり、一定の成果を挙げてはいますが、大事な局面で、闘わない労働組合では、その存在意義が薄れて、組合員の信頼も失う恐れがあるのではないでしょうか。日教組には、現場の教職員の怒りの声に耳を傾け、それに応えて、組合員のために闘う姿勢を示していただくことを期待したいと思います。
○最後に組織強化について。
  中1への30人規模学級導入の成果について、今大会でも多くの支部から報告があり、ありがたいという声が寄せられました。これも、育休や介護休暇と同様に、県民教育署名等の長いねばり強い運動と闘いがあって実現したものです。「運動なくして得た権利は1つもありません」と私は、支部大会で訴えました。この大会でも各支部から、様々な組合員を増やす取り組みが報告され、大変参考になりました。
  困難な情勢の中で、「要求で一致する」と言う基本方針を掲げ、数々の成果を挙げてきた長野県教組の運動を更に発展させ継続したいと思います。労働協約締結権が付与され、労使の直接交渉によって、賃金も労働条件も決める時代がすぐそこまでやってきています。執行部答弁から、この労働基本権の回復も決して嬉しいことばかりではなく、むしろ賃金抑制の手段として使われる可能性があることが分かりました。
組合員の減少に歯止めをかけ、多くの組合員とともに、これからも様々な考えや意見を闘わせながら、しかし、最終的には、要求で一致し、我々自身のために、そして、子ども達の未来のために、15支部が力を合わせて運動を進めることを要望し、私の総括討論を終わりにしたいと思います。ありがとうございました。 


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運動方針案 総括討論(概要)
                 要約は県教組情宣部による