「教育課程部会におけるこれまでの審議のまとめ」に対する見解

  11月7日、中教審教育課程部会は「教育課程部会におけるこれまでの審議のまとめ」(以下、「審議のまとめ」)を公表しました。「審議のまとめ」は教育基本法や教育関連3法の改悪後、はじめての学習指導要領改訂に向けたもので、「全国一斉学力テスト」の結果を踏まえて、基礎・基本に加えて活用力を強調するとともに、小中学校での授業数増や、総合的な学習や中学校選択教科の時数減など、現行の学習指導要領を大幅に手直しするものとなっています。

  教育基本法や学校教育法の改悪により「国を愛する態度」「公共の精神」「規範意識」などが教育の目標に入れ込まれました。これらが学習指導要領によって具体化されれば、子どもたちの内心の自由を侵害し、管理統制の強化につながる危険性があります。「審議のまとめ」の中では、「教育内容に関する主な改善事項」として、「伝統や文化に関する教育の充実」「道徳教育の充実」について言及していることから、「愛国心」や「規範意識」の強化を行わないよう、最終答申に向けて検討を求めていく必要があります。
  「審議のまとめ」では、文科省が、指導の工夫や充実が求められる事項の例を「重点指導事項例」として提示することを示しました。これまで文科省は、学習指導要領には「法的拘束力」があるとして、学校に押しつけてきました。現時点で「重点指導事項例」の内容については不透明ですが、学習指導要領に加えて「重点指導事項例」によって、学校における教職員の闊達な教育活動が拘束されるのであれば、二重の管理統制の強化につながるため、極めて問題です。また、「全国一斉学力テスト」の結果を踏まえて、教科ごとに「重点指導事項」を示し、国が求める「学力」がついたかどうかを全国一斉学力テストで競わせようとしている意図も感じられ、重大な問題があると考えます。

  教育内容の復活については、現行学習指導要領に対する教育現場からの批判や、教育内容削減についての諸学会等からの批判を一定反映したものです。しかし、学校週5日制の下で、5日制以前の学習内容をほぼそのまま復活させているため、結果的には授業内容がさらに過密になることは明らかで、さらなるつめこみにつながることが危惧されます。授業時数増は、子どもたちの学習負担の物理的増加につながり、学校嫌いや勉強嫌いの増大につながるのではないかという問題もあります。内容を一方的に増やすのではなく、子どもの実態を見極めて、教育内容を精選する必要があります。
  現行学習指導要領の実施にともなって、各学校では「総合的な学習の時間」を子どもたちの認識と体験を結びつける総合学習の立場から活用したり、教科学習と関連させたとりくみを創造したりするなど、様々な工夫・努力をおこなってきました。これまで各校がとりくんできた実践の蓄積を大切にして、今後、教育課程の自主編成のとりくみをすすめることが重要です。
  小学校における英語教育は「外国語活動」として小学校5・6年に週1コマおくとしていますが、英語教育の是非をめぐっては、国民的にも教職員からも議論があり、合意が得られているとはいえません。指導者については「学級担任を中心」としていますが、小学校の教員はそのほとんどが英語教育の免許を保有していないため、条件整備なしでの実施は、現場に一層の負担を強いるとともに、子どもたちの英語嫌いにつながる危険性があります。
  障害児教育についても、「多様な障害に応じた指導の充実」「個別指導計画の作成」などをあげていますが、条件整備が伴わないもので、現場に責任を丸投げするものです。
  また、教職員定数の改善についても言及していますが、「主幹教諭による学校マネジメント機能の一層の強化や教師の事務負担の軽減」など限定し、その内容は、3月に出された中教審答申「今後の教員給与の在り方について」と軌を一にするものであり、学校現場における協力・協働の破壊につながることが懸念されます。子どもたちと十分に関わり合える時間の確保や学校現場における長時間・過密労働の実態を改善するためには、教職員定数の抜本的な改善を改めて強く求めるものです。

  「審議のまとめ」には現行学習指導要領に対する反省がないばかりか、「教師に指導を躊躇する傾向がある」として、現場教師に責任を転嫁するなど、多くの問題があります。私たちは、子ども・地域の実態に即したカリキュラムづくりが可能となる教育施策・条件整備を求めるとともに、保護者などと話し合い、子どもたちに豊かな学力を保障し、人間的な成長をはかることができる教育課程をつくりあげていくために今後も全力をあげてとりくむものです。
                                        2007年11月8日
                                                 長野県教職員組合執行委員会

11月8日、中教審教育課程部会の審議のまとめに対して、県教組執行委員会は下記の見解を
発表しました。