「義務教育費国庫負担制度」に関わる「地方分権改革推進会議最終報告」について(執行部見解)
2002年11月6日
長野県教職員組合執行委員会
10月30日地方分権改革推進会議は「事務・事業のあり方に関する意見」をまとめ、最終報告を小泉首相に提出しました。
その内容を見ると、負担対象経費の見直しとして「共済費長期給付、退職手当等にかかる経費を国庫負担対象から外し、2003年度(平成15年度)から段階的に縮減し一般財源化を行う。」としています。しかし、具体的な財源措置については「地方分権の観点を視野に入れて関係者間で十分に協議、調整が行われるべきものと考える」としているのみであり、このままでは事実上地方に経費負担を押しつけるものといえます。
また最終報告では、現行負担金の制度的な問題点として教職員給与の半額を国が負担している仕組みそのものにあるとし、「地方の創意工夫を促し、何らかの客観的指標を基準とする定額化・交付金化に向けた検討を行うべきである。」としています。(2004年度、2006年度までを目途に見直し)さらに最終的には義務教育費国庫負担金全額の「一般財源化について検討を行う。」としています。(継続的検討)
負担対象経費のにあたる「共済費長期給付」「退職手当」「公務災害補償基金負担金」「児童手当」等の経費約5,000億円の削減案については、文部科学省が経済財政諮問会議において国庫負担制度の見直し案として提出したものであり、今回の報告はそれを受けたものといえます。文部科学省はそれ以外の経費としての教職員給与本体については堅持していく姿勢を示していますが、最終的には「定額化・交付金化」さらには「一般財源化」にむけた道筋の第一歩と考えられます。これは憲法・教育基本法の精神に基づいた「教育の機会均等と教育水準の維持」を目的に実施されてきた国庫負担制度の根幹を崩すものであり、義務教育水準に自治体格差を生じさせるとともに、義務教育に関わる国の財政責任を放棄することにつながることとなり、断じて認めることはできません。義務教育に関わる国の財政責任として、引き続き来年度予算編成において予算化されるよう強く求めていく必要があります。
また「客観的指標に基づく定額化・交付金化」および「一般財源化」については、中間報告で客観的指標について、児童・生徒数を基準とした定額化・交付金化を検討していました。これを基準とするならば過疎化が進む地域では、少ない人数に応じた教職員給与費しか保障されないこととなり、児童生徒数が少ない学校を抱える山間地等の地域では、教職員が減らされることにつながり教育条件の低下となることは否定できません。最終報告では「例えば、当面、現行の標準定数等によって計算される国庫負担金額を地方に交付し、その範囲内であれば実際の定数や給与水準を地方の裁量で決めうるような定額化、交付金化を行った上で、次の段階として、より客観的な基準による制度への移行を図るとの構想もあり得よう。」としています。しかしこのような方式では、状況によっては自治体の裁量で教育予算以外の費目に使われる可能性もあり、義務教育費国庫負担法の趣旨に全く反する恐れがあります。
さらに必置規制の見直しとして論議に上がっていた「学校事務職員・栄養職員に関する国の関与の見直し」については、「義務標準法等を通じた国の関与の見直し及び義務教育費国庫負担制度の見直しの中で、地域や学校の実情に応じた配置が一層可能となる方向で、引き続き検討を行う。」となっていますが、学校基幹職員としての両職種が果たしてきた役割を十分に認識しておらず、しかも義務標準法の見直しまで言及していることは大きな問題といえます。義務標準法の水準が現在よりも低いものに見直されることとなれば、事実上国庫負担金額の削減につながることともいえ、厳しい財政状況におかれている地方自治体では削減分をまかなうことは困難であり、今の教育水準を維持していくことは非常に困難な状況を迎えることとなります。この間財務省(旧大蔵省)を中心に給与費の適用除外が画策されてきた経過からみても、引き続き両職種が義務標準法に基づいて配置されていくことを強く求めていくことが重要です。
この間県教組では義務教育費国庫負担制度を守るために、市町村議会からの意見書採択や、職場からの要請はがき、要求打電、県選出国会議員への要請行動、市町村長・市町村教育委員会・連合PTA・単位PTAからの関係機関への要請書送付、事務職員・栄養職員を中心にした親書活動や署名活動等にとりくんできました。意見書採択においては9月議会までに県議会を含め112の自治体で採択がされており、要請書送付も各地区からあがっています。
今後義務教育費国庫負担制度に関わる論議は「経済財政諮問会議」に移ることになりますが、義務教育費国庫負担制度の重要性を広く保護者県民に知らせながら制度堅持の運動を発展させていくこととあわせて、憲法・教育基本法の改悪を許さないとりくみを連動して進めていく決意をここに表明するものです。