義務教育は、国民として必要な基礎的資質を培うものであり、憲法の要請にもとづくものです。子どもたち一人ひとりが、確かな学力や生きる力を身につけるための義務教育の基盤づくりは国の責務です。義務教育の機会均等や全国水準を確保するために設けられたのが義務教育費国庫負担制度です。
この義務教育費国庫負担金の削減を含む「三位一体改革」が、本日政府・与党で合意されました。教育に対する国の責任を放棄するもので、断じて認めることはできません。
これまで政府は国の財政状況が厳しいことを理由に、臨調行革路線の一環として、1985年度以来義務教育費国庫負担制度の見直しを行い、旅費や教材費をはじめとして次々と縮削減を行ってきました。今年度は給与費の一部を一般財源化しました。
さらに、「三位一体改革」がおしすすめられる中、全国知事会などの地方六団体の意向を受ける形で、本日の合意となりました。国庫負担率をこれまでの2分の1から3分の1にして、8500億円程度の税源移譲を生み出そうというものですが、負担率を下げること自体が義務教育に対する国の責任放棄です。
昨年の政府・与党合意で「中央教育審議会において結論を得る」とし、先の中央教育審議会最終答申では「現行の負担率2分の1の国庫負担制度は、今後も維持されるべき」とされました。今回の「政府・与党合意」はこの答申を反故にするもので、制度の根幹を維持するものとしていますが、さらなる後退につながる危険を持っていると言わざるを得ません。
地方六団体は生活保護費の削減には反対し、義務教育費の削減に固執しました。どちらも本来は義務的経費で地方の自由度は広まらないもののはずです。地方交付金も削減される中で、歳入不足を補うために義務教育費を他のものに使う意図があるように思われてなりません。
来年度は税源移譲する3兆円超を所得譲与税として措置することになっていますが、地方に格差を生み出すことも懸念されます。長野県の財政がさらに厳しくなれば、「30人規模学級」の後退や加配教職員が減らされたりするなど、教育条件の低下が危惧されます。また、教職員の人件費について市町村負担が求められ、小規模校の統廃合につながるなど市町村財政にも影響を及ぼしかねません。さらに、教材教具費・通学費など保護者負担の増額につながる可能性もあります。今年度、長野県議会も含め県下75自治体(約73%)の議会で義務教育費国庫負担制度堅持の意見書が採択されています(9月30日現在)。今回の合意内容はこうした長野県民の願いをまったく反映していません。
義務教育費によって地方財政が圧迫されないために、義務教育費国庫負担制度が生まれたことは歴史的にも明確です。地方財政の健全な状態を維持し、自主性を確保し、地方自治を実現するための役割を義務教育費国庫負担制度が果たしていると言えます。義務教育の国庫負担増額のために「全国町村会」が発足したことを想起すべきです。
長野県教職員組合は義務教育費国庫負担金削減について抗議するとともに、その撤回を強く求めるものです。そして、未来を担う子どもたちが健やかに成長できる教育を保障するために、今後も県民のみなさんとともに義務教育費国庫負担制度を維持向上させ、義務教育充実に向けて奮闘します。
2005年11月30日
長野県教職員組合執行委員会
義務教育費国庫負担金の削減に抗議する声明