子どもの安全を脅かす残虐な事件が全国で相次いでいます。広島県および栃木県において下校途中の小学校1年生の児童が殺害され、京都府では塾の講師による小学校6年生の殺人事件が起りました。凶悪な犯行に激しい怒りをもつとともに、犠牲者となった子どもさんのご冥福をお祈りし、ご家族のみなさんに心からお悔やみ申し上げます。
 2001年、大阪で8人の児童が学校内で刺殺されるという事件が起こるなど学校内での事件が相次ぐ中で、学校の安全が大きな社会問題となり、学校現場はその対応をせまられました。しかし、今回の一連の事件により私たちは改めて、子どもたちが生活する地域の安全そのものが脅かされてきていることを思い知らされました。
 事件のたびに県教委からは、危機管理に関する調査や安全策の立案が求められ、学校は集団登下校や安全マップの作成、校内通報体制の整備、地域の「安全見回り隊」のとりくみ、「子どもを守る安心の家」の設置などなどの対応を行ってきました。今回も、12月14日に県教委は全県の小・中・障害児学校に対し、「当分の間、登下校時における巡回指導」を依頼する通知を出しました。
 子どもの安全が脅かされ危険が増大する中で、地域の協力体制のもと登下校時の指導や巡視など緊急的な対応としてのとりくみは必要です。しかし、超勤が増え多忙化がすすむ中、教職員だけにその対応を求めることは困難です。私たちがまずとりくまなければならないことは、子どもたちの気持ちをしっかりつかみ、報道に接する中で不安や動揺を感じている子どもたちの不安をとりのぞくことであり、落ち着いた環境で教育活動をすすめることではないでしょうか。子どもたちの成長と安心・安全を何よりも大切にするためには、教職員がゆとりを持って事に当たれるように、勤務条件の改善も必要です。同時に、緊急的な対応をするために、会議の精選をはじめする対応体制の整備も必要です。対応を学校任せにせず、地域と一体となったとりくみが求められます。

 緊急的な対応と同時に、なぜ凶悪な犯罪が続くのか、その社会的背景を分析することも重要です。青年も含めた子どもたちは、今の社会で本当に大切にされているといえるのでしょうか。「勝ち組」「負け組」に象徴される格差社会、競争社会の風潮が強まり、国民全体が競わされています。とりわけ青年層は、将来に夢がもてず、ストレスがたまり、はけ口がない状況に追い込まれています。社会全体が一人ひとりを大切にできなくなっています。このような中で、弱い者や幼い者が攻撃にさらされています。今求められていることは、戦争をはじめとする暴力の文化、弱肉強食の非人間的な風潮を改め、人間同士が平和で、助け合って生きることのできる社会をつくりあげることではないでしょうか。政治の有り様、社会の有り様について、大人たちが本気で問い直すことなしに、一人ひとりを大切にする社会の実現はあり得ないと考えます。

 私たちは、「教育改革」の名のもと競争を強いる教育政策に反対し、人間が大切にされる社会をつくるために奮闘します。また、「自由で安心で安全にすごせる学校づくり、地域づくり」にむけて、「開かれた学校づくり」のとりくみとも連動させ、地域・学校が一体となり、子どもたちをとりまく環境をよりよいものにするとりくみをすすめます。
 安全で・安心できる社会・学校をつくりあげるため、教職員と保護者、地域、行政がそれぞれの役割について確認し合い、地域全体の共同を大切にしたとりくみをすすめていきましょう。県教組はその先頭にたち奮闘する決意です。
共同のとりくみで子どもを守り、安心・安全な学校・地域を!

                                             2005.12.22  長野県教職員組合 執行委員会