2005年8月15日 
                                                                    長野県教職員組合執行委員会

  人事院は8月15日、政府と国会に対して月例給を0.36%、1,389円引き下げ、一時金を0.05月引き上げる本年の給与改定に関する勧告と、「給与構造の見直し」に関する勧告・報告をおこなった。
  2005春闘では昨年に引き続き前年を上回る賃上げ状況になっていることなどから、月例給の「マイナス勧告」は合理性もなく、到底納得できるものではない。その上、4月からの官民較差分を12月の期末手当で「調整」するとしているが、これは「不利益不遡及」の原則を踏みにじる点で、労働者の人権侵害に及ぶ重大な問題を持っており、強く抗議するものである。
 給与構造の見直しは数多くの問題点を持った内容となっている。
  第一に、地域の民間労働者の賃金を公務員賃金にさらに反映させるとして、民間賃金の最も低い地域にあわせて俸給表水準を全体として引き下げ、「地域手当」で地域間の給与格差をつけることである。地域の公務員給与が4.8%も引き下げられれば、地方公務員をはじめ、それに準拠している民間の賃金水準も引き下げられ、賃下げの悪循環となって地域経済に悪影響を与えることは避けられない。国家公務員にとっては地域手当が俸給水準引き下げによる「給与の再配分」であっても、地方公務員にとっては給与水準の絶対的な引き下げに直結する問題である。地方公務員の給与水準引き下げは地方交付税の削減につながることから、地方の財政問題としての側面も強く持っている。また、現状でも「同一労働・同一賃金」の原則が十分に保障されていないにもかかわらず、地域ごとの官民較差に基づいて地域格差がさらに拡大すれば、平等取扱いの原則にも反することとなる。このように、地方の切り捨てにつながる勧告内容は断じて認められない。
  第二に、新たな評価制度が確立されないまま、勤務実績を反映する給与制度の導入を勧告したことである。勤務成績を反映させやすくするために現行の号俸を4分割し、勤務成績によって5段階の昇給をさせるとしているが、昇給原資が制約され、区分ごとに分布率が設定されている下では、制度が公平・公正に運用されるとは到底思えず、職員内部に恣意的差別と不公平感をもたらしかねない。また、枠外昇給制度の廃止は給与カーブのフラット化と合わせて高齢層の生活を直撃する。退職手当や年金にも波及する俸給水準低下は、生活設計上の大問題となるばかりか、職務遂行意欲をも大きく損ねるものである。
  このように、給与決定や労使関係のあり方の根本に関わる大改定であるにもかかわらず、十分な説明もなく、公務労働者の理解が得られないまま一方的に勧告を強行した人事院に対して改めて強く抗議する。
  今回人事院がマイナス勧告や、給与構造の見直し勧告を行ったことは、「骨太方針2005」などで公務員の総人件費削減方針を掲げる政府や、労働者への賃金抑制を行っている財界の影響を強く受けたものと言わざるを得ない。労働基本権制約の「代償措置」としての人事院勧告制度の役割を後退させ、政府の構造改革と財界の賃金抑制攻撃に手を貸す勧告を行ったことは断じて許されるものではない。
  県教組は春闘期から人勧期を通し、公務員の生活改善につながる人事院勧告を求め、民間春闘支援、時間外職場集会、政府・人事院への大型要請はがき送付、五次にわたる中央行動への参加等、精力的なとりくみをおこなってきた。これらのとりくみの結果として@地域手当の支給地域の拡大、A号俸延長や55歳昇給停止措置の廃止、B本府省手当の実施先送り、C一般職員の査定昇給先送りと勤勉手当の標準者の成績率引き下げ阻止、D「現給保障」など一定の改善をさせることができた。引き続き全国の仲間と固く連帯して、「マイナス勧告」の実施と「給与構造の見直し」に反対し、閣議決定を阻止するとりくみを強化する。
  また、国立大学独立法人化に伴い、各県人事委員会が作成することになった教員給料表について現行水準を維持・向上させる課題も含め、10月の県人事委員会勧告及び地公労・県教組独自確定交渉を基軸に、組合員の諸要求実現を勝ちとるために組織をあげて全力でとりくむことを表明する。
  団結を固め、秋季闘争勝利に向けた大きな闘いの輪を全職場から創り出そう。


2005人事院勧告についての声明